Dr.インタビュー

阪神尼崎駅の駅前で
地域医療を支える
『黒田クリニック』

平成8年に開業以来、阪神尼崎駅の駅前で地域医療を支える『黒田クリニック』。
身体のトラブルや悩み事を気軽にご相談していただけるような地域のホームドクターをモットーに、精力的に診療を行っています。

今回は、クリニックの院長としてはもちろん、地域医療の担い手としてご活躍されている黒田先生にかかりつけ医の重要性と、これからの医療の在り方についてお話を伺いました。

かかりつけ医について

  • かかりつけ医とは?

    患者様自身やご家族の日常的な診療、健康管理をする身近な医師のことを「かかりつけ医」と呼びます。
    人にはそれぞれ経てきた人生があり、価値観やライフスタイルも違う…。ですから、患者様の体調や家族構成、社会的な状況など、バックグラウンドを十分に理解し、より的確な診断や治療にあたることができる「かかりつけ医」は、いざというときになくてはならない存在です。

    また、日々の診察の中で病気の初期症状に気付き、早期段階で診断・治療にあたることができるのもかかりつけ医の大きな特徴です。症状が出てからでは手遅れのケースもありますから、健康状態、持病について包み隠さずに話し合える関係を築いていけたらと考えます。

  • POINT 01

    患者様と信頼を築くために大切にしている「コミュニケーション」

    患者様のニーズと、私どもの診断がマッチングしていることが第一です。問診のときは、患者様に対して正しい病状や治療方法を十分に説明し、患者様は疑問や質問を医師に投げかけ、双方にやり取りしながら方針を決定していく「インフォームド・コンセント」を大切にしています。

    特に当院は、阪神尼崎駅の駅前という立地柄、会社員の方からお年寄りまで幅広い世代の患者様が来院されるので、「症状」ではなく「一人ひとり」を診て、的確なアドバイスをすることが絶対だと感じています。

  • かかりつけ医を持つメリットは?

    患者様のバックグラウンドを知っているからこそ、的確なアドバイスができることです。
    たとえ専門外の領域だったとしても、患者様と医療機関をつなぐ橋渡し的存在となり、専門の先生や大学病院をご紹介することができます。特に当院は、私が尼崎市の医師会長をしていた関係上、信頼できる提携先のストックが豊富だと自負しています。

    また、患者様の健康状態を日常からしっかり診ているので、小さな異変や兆候に素早く対応することができます。少し前に、糖尿病の患者様の血糖値が突然上がったことがあり、不審に思ってご家族に尋ねたところ、認知症が進んでお薬を服用できていなかったと判明しました。早期段階でしたので、ヘルパーさんをつけることができたほか、お薬をお出しして回復まで至りました。

    このように、患者様の健康に目を光らせ、万一のときも専門分野の診療と連携をとれるのがかかりつけ医の利点です。よく患者様から「こんなこと質問していいの?」というご質問を受けますが、不安やお困りごとは気軽にご相談いただけたらと思います。

  • POINT 02

    一人ひとりの症状に応えられるよう「自己研鑽」を怠らない

    幅広い領域のご相談を受けると同時に、一人ひとりの症状を見据えた提携先の精査も求められるので、「スペシャリスト」であり「ジェネラリスト」でなければならないと考えます。一口に食欲不振といっても、原因や症状は実にさまざまで、精神面の不調から起きている場合もありますから、それを見越した診断が求められます。

    医療は日進月歩ですから、薬品メーカーから知識を得たり、頻繁に研究会や勉強会に参加したりと、毎日勉強を怠らないように気を付けています。

消化器内科の病気について

  • 院長先生の専門領域である「消化器内科」

    消化器内科といって、口から肛門までの「消化管」を専門で扱っています。大学時代は、ピロリ菌について研究していました。ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると、炎症が起こるほか、放置しておくと胃炎、さらには胃・十二指腸潰瘍や胃がんに至ることがあります。「WHO(世界保健機関)」では、胃がんになるいちばんの原因として「ピロリ菌感染症」が挙げられるほか、日本の学界でもピロリ菌を見つけたら除去するように言われているほど、恐ろしい菌なのです。

    当院では、胃酸の分泌を抑えて抗生物質の効果を高める「タケキャブ®」と、さまざまな細菌の発育を抑える「ペニシリン」と「クラリスロマイシン」を、朝夕の食後に1週間内服していただく薬物治療を行っています。この方法で大部分の方は除菌が成功しますが、万が一効果が見られない場合は「クラリスロマイシン」を、原虫治療薬の「フラジール」に変更して同じことを行います。それでも効果のない場合は、保険外治療にはなりますが、三次除菌をお薦めしています。

  • ピロリ菌に感染する原因

    上下水道を用意してなかった頃は、水が原因と言われていました。ピロリ菌は、そのほとんどが幼児期に感染すると言われています。
    ご両親がピロリ菌を持っていて、ご両親からお子様への食べ物の口移しなど、家庭内感染から広まったとされています。
    現在は、上下水道が整備されたことにより、若い方の感染者は20%程度と減少傾向にあります。

  • 現在増えている病気とは?

    食生活の欧米化が進んだことで、大腸がんの患者様が増えています。
    しかし、大腸がんは“早期発見であれば完治しやすいがん”と言われています。当院でも初期症状(小さなポリープ)であれば、切除器具で取り除くことが可能です。この段階でしたら身体への負担も少ないので、早期発見のためにも、毎年大腸がん健診(便の潜血検査)を推奨しています。

    また、大腸がんは生活習慣の見直しで予防することができる病気です。食物繊維を多めに摂ったり、腸内細菌といって善玉菌を増やしたりと、腸内環境を整えることも忘れないでください。

  • POINT 03

    早期発見・治療につなげるため「内視鏡検査」に力を入れています

    口からカメラを挿入し、口から十二指腸までの病変を検査する「胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)」と、肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を観察、処置する「大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)」を行っています。
    胃カメラの場合、鎮静剤を使用して患者様が寝ている数分間の間に終了しますので、「苦しくてつらい」ということはありません。近年はカメラの精度が上がっており、通常の光を当てても分かりにくい小さながんを、特殊な光線で浮かび上がらせることで、より詳細な観察が可能になりました。
    大腸カメラでは高度なAI診断を用いた画像診断が可能となっており、人間の目では見逃してしまうようなポリープやがん細胞を発見することができます。また、それらが良性なのか悪性なのかも判断できます。
    当院は、最新機器と経験のある医師とのコラボレーションにより、より患者様に負担が少なく、精度の高い診断・治療ができたらと考えています。

高度医療を地域の皆さまに
提供していくために

高齢化社会が急速に進む日本では、在宅医療が増加・多様化するといわれています。つまり、かかりつけ医を中心に、薬局(薬剤師)、訪問介護ステーション(介護士)、福祉関係者(ヘルパー)などがそれぞれの役割や機能を分担し、力を合わせてひとりの患者様をサポートする「地域包括ケアシステム」が求められるのです。

今後は、当院の患者様のみではなく、地域医療を支えていくことにも力を入れたいと考えています。そのためにも、私をはじめとする開業医のレベルアップは必要不可欠です。
近しい未来にはより高いレベルの医療を、地域単位でご提供していけたらと思います。

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