ピロリ菌

ピロリ菌について

  • ピロリ菌とは、胃の粘膜に生息しているらせん形のグラム陰性桿菌になり、主に慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の病気の原因がピロリ菌感染と考えられております。また、ピロリ菌は食べ物・飲み物から感染しやすく、衛生状態のあまり良くないところではピロリ菌が繁殖しやすい為、感染する人が多いとされております。また、上下水道の普及率の低い世代(中高年以上)の保菌率もかなり高いと言われています。
    ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に炎症が起こりますが、大半の方が症状を自覚していません。

    しかし、ピロリ菌の感染が長く続くと、胃粘膜全体に広がり慢性胃炎となります。この慢性胃炎が、ヘリコバクター・ピロリ菌感染胃炎と呼ばれます。このヘリコバクター・ピロリ菌感染胃炎が胃潰瘍、十二指腸潰瘍を引き起こし、その一部が胃がんに進行していきます。また、ヘリコバクター・ピロリ感染による胃炎は、お薬による「除菌療法」が成功すると改善します。

  • ピロリ菌について
    • ピロリ菌感染
    • 数週間から数ヵ月で約100%

      慢性胃炎
      ヘリコパクター・ピロリ菌感染胃炎
      • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
      • 胃 MAL リンパ
      • 機能性胃潰瘍
      • 胃ポリープ
      • 特発性血小板減少性紫斑病
      • 未分化型胃がん
    • 萎縮性胃炎
    • 分化型胃がん

      ※ピロリ菌感染者全員が、必ずしも上限の疾患になるわけではありません。

ピロリ菌と胃がんの関係性

胃がんとピロリ菌は密接に関係しているといわれています。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍や胃炎などの患者様を対象とした調査では、10年間で胃がんになった人の割合は、ピロリ菌に感染していない人では0%(280人中0人)、ピロリ菌に感染している人では2.9%(1246人中36人)であったとの報告がわが国から行われています。

※現在、保険適用でピロリ菌の検査・除菌療法を行うことができる疾患は決められています。

胃がんになったらピロリ菌を除菌した方がよい?

ピロリ菌を除菌すると、新しい胃がんが発生する確率を減らすことができる可能性があります。
早期胃がんの治療後にピロリ菌を除菌した患者様は、除菌をしなかった患者様と比べ、3年以内に新しい胃がんが発生した人が約1/3だったと報告されています。

ピロリ菌の検査について

ピロリ菌の検査には、内視鏡を使う方法と、内視鏡を使わない方法があります。

  • 内視鏡を使う方法

    • 迅速ウレアーゼ試験

      ピロリ菌のもつ酵素のはたらきで作成されるアンモニアを調べて、ピロリ菌がいるかどうかを判断します。

    • 鏡検法

      採取した組織を染色し、顕微鏡で観察することにより、ピロリ菌がいるかどうか判断します。

    • 培養法

      採取した組織を用いて培養し、ピロリ菌が増えるかどうかを調査します。

  • 内視鏡を使わない方法

    • 抗体測定

      血液や尿を採取してピロリ菌に対する抗体の有無を調査することにより、ピロリ菌に感染しているかどうかを確認します。

    • 尿素呼気試験

      検査用のお薬を飲み、一定時間経過した後に吐き出される息(呼気)を調査し、ピロリ菌に感染しているかどうかを確認します。

    • その他の検査法

      便を調査してピロリ菌感染を確認する方法もあります。

ピロリ菌の治療について

胃潰瘍・十二指腸潰瘍、慢性胃炎などの患者様に対して検査を行い、ピロリ菌がいることを確かめてから治療を行います。
ピロリ菌の除菌方法とは、2種類の「抗生物質」と「胃酸の分泌を抑える薬」の合計3剤を同時に1日2回、7日間服用する治療法です。また、すべての治療が終了した後、4週間以上経過してから、ピロリ菌が除菌できたかどうか、確認する検査が必要になります。
正しくお薬を服用すれば、ピロリ菌の除菌は約90%の確率で成功すると言われています。また、万が一除菌に失敗した場合は、二次除菌療法があります。一回目の除菌療法でピロリ菌が除菌できなかった場合は、2種類の抗菌薬のうち一つを初回とは別の薬に変えて再び除菌療法を行います。

  • 当院の治療について

    当院では、ピロリ菌除菌率の高いタケキャブ®を使用した新しいピロリ菌1次除菌、2次除菌を開始しました。

    今までの胃酸分泌抑制薬であるプロトンポンプインヒビター(PPI)とは異なり、全く新しい作用機序のPPIであるボノプラザン(タケキャブ®)を利用しています。

    治療の特徴

    • 酸分泌抑制効果が表れるまでの時間が短い
    • 効果発現の個人差が少ない
    • 効果の持続時間が長い

    ピロリ菌除菌では従来のPPIによる治療をボノプラザン(タケキャブ®)に切り替えた場合、治療成績の向上が最も期待されています。

    ボノプラザン・アモキシシリン・クラリスロマイシンの3剤併用による1次除菌では、投与4週後の除菌率は92.6%で、ランソプラゾールを含む3剤併用の除菌率75.9%を上回った(画像参照)。

    「ボノプラザンは酸分泌抑制効果が表れるのが速いため、従来のPPIに比べて酸分泌を抑制できる期間が長くなる。このため、より高い除菌効果を得られる」と報告されています。2次除菌率は98.0%でした。

当院のピロリ菌の
治療実績について

ピロリ菌除菌に新しいパック製剤ができ、当院では飲み間違えがないようにパック製剤を使用し、ピロリ菌除菌をしています。
当院での平成26年4月から令和4年7月までの除菌率は1度の治療で除菌できた方(1次除菌率)は85%、2度目の除菌治療で除菌できた方(2次除菌率)は98%の成績です。更に、ここ半年の除菌率はほぼ100%を記録しています。
健診などでピロリ菌陽性と指摘を受けた方は当院にご相談ください。

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